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小説

乙一『夏と花火と私の死体』を読み終えた感想

今回は学生時代の友人のオススメで購入してみた。
ネットの記事でも多くの人がオススメ!と書いている。

読み終えるまでは一瞬だった。
ボリューム多くなく、文章もわかりやすいので読みやすい一冊だった。

乙一「夏と花火と私の死体」


九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。

ジャンプ小説・ノンフィクション大賞

1996年の集英社刊の雑誌『ジャンプノベル』に掲載された
「ジャンプ小説・ノンフィクション大賞」の
第6回大賞受賞作だそう。

17歳という若さでのデビュー作品

普通に恐ろしいと思った、
この文章を17歳(執筆当時は16歳)という若さで書いていると思うと。

高校生の頃にこの文章力、世界観。
16歳の頃の私自身と比べるとこの人はヤバさの塊だと思った。

小野不由美もべた褒め

小野不由美は解説ページで、
「16歳でこれは驚異的だ」と自身のメモに書き残している。

巧拙と年齢を結びつけることには意味がないように思う。…中略

年若い作者だから大目に見てもらえるわけではないし、

歳を取った作者の巧さが年齢の為に価値を減ずることなどあり得ない。

にも関わらず、前述のようなメモを残している。

さすがに乙一氏の場合ばかりは、無視できなかったらしい。

その年齢に比して、あまりにも作品が優れていた。

夏と花火と私の死体

読み終えた感想

冒頭でも書いたいようにとても読みやすい。
どんどん内容が頭に入ってきてスラスラとページが進んだ。

終盤にグッと大きな盛り上がりがあるわけでもなく、
奇抜なトリックが使用されているわけでもない。

無駄を省いたシンプルな内容。
でも、そのシンプルな文章の中にホラーというか異常性?のようなものを感じた。

死体が語り手

物語の主人公、語り手『わたし』は9歳の女の子。
名前は五月(いつき)ちゃん。

友達の弥生ちゃんと一緒に木の上に登り、
彼女に突き落とされて死んでしまう。

しかも最序盤であまりにもあっさり死ぬ。

そして
死んだことを悔やむでもなく弥生ちゃんに恨みを抱くでもなく、
死体 となっても淡々五月の一人称で物語が進んでいく。

よくある読者に向けて語るいわゆる
神の目線とも違う、あくまで『わたし』目線で語られる。

でもそんなに違和感がない。
なぜだろう?と考えたが、死んでしまった五月の語りには
やけに落ち着いているというか深刻そいうな感じがしない。
そこに転がっている自分の死体にはそれほど興味がなさそうなくらいに。

『わたし』の死体を巡る物語

五月を突き落として殺してしまった弥生。

もう一人中心人物がいる。
それが弥生の兄である健くんという少年。

この本の物語は、
いかに五月『わたし』の死体を隠すかという、サスペンス調のお話になっている。

二人の子供が死体を隠す

見つかりそうになる

場所を移動させる

という流れを繰り返して進行していく。

小野不由美は解説ページで以下のように書いている。

サスペンスの文法を完全に呑み込んでいる。

緩急の付け方、緊張の作り方、緊張を解く呼吸には

文句の付け所がない。

夏と花火と私の死体

健の異常性

読んだ人なら誰もが違和感を覚えると思う。
この健くんの発言や行動はなんだ?本当に小学生か?
と考えさせられる程の天才児?サイコパス?のような、

(違和感)異常性を感じる。

まるで子供を泣きやませるように、
弥生ちゃんとわたしの死体に優しい微笑みを向けて
健くんはそう訊いた。そしてわたしに近寄りながら言った。

「五月ちゃん、死んでるじゃないか。 …省略

夏と花火と私の死体

これが仲の良い友達の死体を見たときの
最初のアクション。

この健という少年、こわすぎる。

嘘で周りを塗り固めずに、

大切な部分だけを偽ることが最も安全だと、

健くんは直感的に悟っていたのだ。

夏と花火と私の死体

五月の捜索隊の大人たちに対して平然と嘘をつくシーンの健くん。

結末

いくつもの間一髪を乗り越え、
あと一歩で隠蔽工作が成功するというシーンで

一番見られたくない人物に死体を見られてしまう。

「知っているわよ。

あなたたちは五月ちゃんをそこの穴に捨てようと考えていたんでしょう?」

夏と花火と私の死体

そして終焉と真相に向かう。

まとめ

も本編は130ページちょっとというボリューム感。

それ故の無駄のないシンプルで淡々とした文章。

所々で垣間見える違和感やホラー。(非日常性)

結論、読んでよかった一冊!
読むのに体力を使わないため、割と誰にでもおすすめできると思った。