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小説

道尾秀介『向日葵の咲かない夏』を読み終えた感想

すっかり読書が習慣化したDeliaです。

今回も面白そうなミステリを求めて
古本屋で購入。

話題となった一冊である。

道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

第6回本格ミステリ候補となっており、
作者は『野性時代』(角川書店)2009年3月号でのインタビューで、本作が読者から、“物語が陰惨”、“登場人物が可哀想すぎる”などと評されたことを明かしている。

読み終えた感想

およそ460ページの長篇作品。

あっという間に読み終わった。
読み進める手が止まらない。

作品の雰囲気

序盤にて小学生の主人公ミチオ(僕)が友人のS君の死体を発見したことにより物語が動き始める。そして突然ミチオの前に生まれ変わったS君が現れる。

”S君を殺した犯人は誰なのか”

ミチオ、妹のミカ、S君の3人での犯人探しが始まる。

そして次第に謎を解明してゆき、
一人の犯人像が浮かび上がってくる…

サスペンス調?だけどどこか不気味な雰囲気で話が進む。

登場人物の異常性

読み進めるうちに誰でも感じると思う。

この小説、登場人物のほとんど ”なんかおかしい” のだ。

妹のミカ

3歳という年齢にしてやけに大人びている。
言動、頭の回転など。

母親

主人公の母親は、
どんだけミチオのことが大っ嫌いなの?
理由は過去にミチオが母に対して”ある嘘をついた”ことが原因らしいが…
明らかに変。そしてヒステリックな言動が多い。

それに対しての家族(父親やミチオ、ミカ)の反応も薄い。

両足が折られ、石鹸を咥えた死体

作中で語らる不可解な事件に
変死を遂げた動物達が発見されるというものがある。

それぞれ共通して
両足が折られ、口の中には固形石鹸が入っているという。

これが後々物語の真相を語る上で重要な事柄になっている。

生まれ変わり

S君は蜘蛛に生まれ変わってミチオの前に姿を現わした。

でもなんだか違和感がある。

蜘蛛の姿をしながら人間の言葉を喋るS君のことを妹のミカを含め、登場人物達がほとんど違和感も感じずに受け入れている。

実は巧妙に隠されたトリックが散りばめられていた。

事件の真相に迫るにつれて”生まれ変わり”という不思議な現象が徐々に明かされていく。その時の緊迫感と恐怖を忘れることができない。

サイコパス・ホラー

中盤以降、読者が感じていた違和感や不気味さが
いよいよわかりやすく表現されていくことになる。

徐々に、徐々に作品の色合いがホラー調にシフトしていくのを読みながら感じた。

序盤で見られたサスペンス調の小学生の主人公による探偵ごっこは、

読み終える頃にはまるでホラー小説を読んでいるかのように”恐怖”を感じるようになる。

まとめ

やはり衝撃的。
読みながら私が常々と感じていた不可解な点もしっかり伏線の回収がされていたと思う。

さいごにはトリックも明かされてミステリとして収束した印象で、

このトリックが何重にも張り巡らされていて、
これがフェアかアンフェアであるかは読者それぞれいろんな感じ方があるなと思うようなもの。

しかし最後のオチは本当にゾワっとした。

先が気になって
睡眠時間を削ってまで読み耽るにはオススメの一冊かなと思う。