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小説

まさに究極の徹夜本!歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』を読了。感想を述べる。

ネット記事のおすすめミステリーを紹介しているサイトでタイトルを知った為、購入してみた。

先日読了したので感想を綴ろうと思う。

この本のトリックの性質上、ネタバレを含むのでご注意を。

歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところ救った麻宮さくらと運命の出会いを果たしてー。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。

出典:葉桜の季節に君を想うということ

ミステリー賞を総なめにした一冊

2004年のミステリー賞で総なめにした。

  • 第57回日本推理作家協会賞受賞
  • 第4回本格ミステリ大賞受賞
  • このミステリーがすごい!2004年版第1位
  • 本格ミステリベスト10 2003年度第2位

「葉桜の季節に君を想うということ」を読み終えた全体の所感

ページ数は470ページほど。
長すぎず短すぎず読み応え的にはちょうど良い感じ。

読み終えてみて、結論から言うと…普通に面白い。

”究極の徹夜本”と紹介されているだけあり、駆け抜けるように読み進む。

どの場面も描写が能動的で退屈な説明文などもほとんどなく、主人公が非常にアクティブに行動するものだから常にハラハラドキドキしながら感情移入できた。

特に語り手である主人公の心象表現の生々しさがリアルで共感や応援みたいな感情移入をしながら読み進めていた気がする。

主人公に自分を重ねていたが故に全ての謎が解き明かされた時にちょっと”ちょっと無理あるな”と素直に感じたのが正直なところではある。

以下ネタバレ

読者の先入観を利用した叙述トリック

この小説の面白いというか読みどころはやはり叙述トリック

結論は、主人公と周りの登場人物たちの”年齢”に叙述トリックが施されていた。
あたかも20代であるかのように読者に錯覚させ、キーパーソンである運命的出会いを果たした麻宮さくらと中年と明かされていたの”古屋節子”との関連性を隠している。

主人公の若々しくプライドの高さを感じ取れる語り口調。
感心するほど行動力があり、フィットネスクラブに通い身体も鍛えている。
きわめつけは導入文でいきなり女性とのセックスシーンである。
そりゃ若い青年を想像しますわ…。

本の最後にある補遺を読むと所々ヒントが散らされていたのかとも思ったが同時に後輩を高校生と説明するなどもしている為、気がつくにはよっぽど注意していないと無理だろうなと思う。

私が”ちょっと無理あるな”と感じた点はまさにここで、70歳のさくらが売春をしていたりとミスリードの描写がゴリ押し気味だと感じる場面も何箇所かある。

成瀬将虎と麻宮さくら

成瀬将虎(本当は70歳)が駅のホームで飛び込み自殺をしようとした麻宮さくら(本当は70歳)を救い出したことにより物語が動き出す。

成瀬将虎(本当は70歳)が探偵の依頼を受け、悪徳業者である”蓬莱倶楽部”の闇を暴くために走り回るという流れが物語の本筋。

しかし、本筋の中で麻宮さくらはとにかく存在感が薄い。
そこで別パートで突然登場する”古屋節子”との関係性に気がつく人もいるだろうけど。

とは言え、
蓬莱倶楽部との直接対決のラストシーンでは救世主として現れたが、最後に恋仲になるまでの2人のストーリーがあまり語られていないので若干 ? にはなった。

ま、二人には幸せな余生を送って欲しいと願うばかり。

ミステリー好き、そうでない人にもおすすめの作品

ゴリゴリの本格ミステリなテイストでもなく、サスペンス調な雰囲気もある作風。

文章が読みやすくて景色や心情のイメージしやすさはピカイチだと思う。

どんな人でも読みやすく気軽におすすめできるような一冊なのではないかと感じた。